『施設長』といっても、工場で働いているのは、ほとんど派遣のおじいちゃん。社員の部下は、32歳のフェレット君だけです。
フェレット君は真面目で温厚。いつもうつむき加減で、長い前髪で顔がよく見えない。声もほとんど聞いたことがありません。
この間、お昼休みに一口チョコレートをあげたら、ぴょこっとお辞儀をして、その場ですぐに食べてくれました。「いい人だな」と思いました。
フェレット君の頬には、ハッキリ目立つ傷跡があります。ナイフでザックリ切ったような。左腕にも生々しい×マークが2カ所。
むむっ、これは訳ありの過去があるのではないでしょうか? 実は昔、相当なワルだったとか? 壮絶ないじめに遭ったことがあるとか!? 妄想は膨らむばかり…。
そんなフェレット君、本日も施設長から人格否定されまっています。私は、「それ、仕事に関係ないよね!」と怒りがこみ上げてくるのをこらえます。
フェレット君、ある日鬱憤を爆発させて殺傷事件でも起こしてくれないでしょうか? 捕まっても、私が絶対に有利な証言をしてあげるから。安心して。
まるで、毎日ウルフにやられて、満身創痍の自分を見ているよう。応援せずにはいられません。心の中で叫びます。「頑張れフェレット君! 頑張れ私!!」